『本の著者は、滅多にできない経験をしたり、深く研究したり、テーマをずっと追いかけたりして、その道のエキスパートになった人である。
そのエキスパートが考え抜いて表現した1冊の本は、著者の脳のかけらにアクセスするための端末だ。
しかも、本は持ち運び自由で、いつでもどこでも読める端末でもある。
充電切れの心配もいらないし、アクセスのスピードも読み手の自由だ。
ざっと眺めることもできれば、じっくり思索を深めながら読むこともできる。
行きつ戻りつしながら、途中から目を通すこともできる。
読者の脳内にもともとあった情報と、新たにインストールした著者の脳のかけらという情報が混じり合い、脳内で情報が編集されることになる。
つまり、著者の世界観と読者の世界観が化学変化を起こし、再編集されて新しい世界観が生まれるのだ。
読書が世界に対する見方を広げ、味方を増やすことにもつながるというのは、そういうわけだ。』
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