2011年の東日本大震災のとき、東京では計画停電が行われました。
社会全体が滞って、スーパーやコンビニから食材が一気になくなったのです。
私のクライアントに、都内で中華料理店を営む店長がいます。
首都圏が落ち着いた4月中旬、私はその店に足を運びました。
どこの飲食店も売上は落ちていたので、この人の店も例外ではないだろう。
内心そう思いながら、私は彼にこう尋ねました。
「この震災で、どういう影響がありましたか?」
すると、こんな興味深い話を聞くことができました。
この人の店のスタッフはほとんど中国人だったので、ほぼ全員が本国に帰ってしまったそうです。
ところが、これまで下っ端扱いっされていたいちばん若いスタッフが1人だけ残りました。
そして、こんな意外なことを言ったそうなのです。
「こんなときだからこそ、あたたかい食事で地元の人たちを元気づけましょう。
今は利益のことは考えず、残った僕たちだけで何とか店をまわしましょう」
店長は驚きましたが、すぐに納得しました。
「それもそうだな、ただでさえ世の中が不安なんだ。この際利益は度外視して、今いるスタッフと今ある材料だけでやっていこう」
そして停電の中、店にろうそくを立て、何事もなかったかのように営業を再開させたのだそうです。
店のスタッフがいつもの調子で営業していますから、この店に来たお客さんたちは大きな安心感を得たことでしょう。
そして私の予想通り、この店の売上は、前年の売上を超えていました。「梯谷さん、聞いてください。
震災が起きたことで、自分が想像もしていなかったような変化が店に起こったんですよ。
まず、ふだんは偉そうにしているのにいざというときに逃げてしまうような幹部がすべていなくなりました。
その結果、今まで幹部の影に隠れていた一人のスタッフがメキメキと頭角を現し始めたんです。
彼は、「こんなときだからこそ通常通りの営業をしましょう」と他のスタッフたちを説得してまわってくれました。
今では、彼が立派な幹部ですよ。
つまり震災のおかげで、うちの店は本当にやる気のある人だけ残ってもらうことができた。
僕は、そんなふうに考えるようになったんです。」何か大きな災難や嫌なことが起きた時、「これは、自分にとって何の意味があるのか」と問いかけることは必要だ。
『突き抜ける 無意識の法則』心理技術アドバイザー 梯谷幸司
それは、それを通して「どんなことを学びなさい」というメッセージが隠されているかという気づきだ。
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所長視点
気づく…ということは、自分の視点が広がった瞬間の感情です。それは小さな奇跡でもあります。気づくことで、いままで囚われていた心が解放されるのです。
気づいたって行動できなければ意味がないのでは?
気づいたって現状は変わらない…
と思うかもしれませんが、気づきという小さな奇跡は大きく現状を変化させてくれます
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