しかし、近年、エンパシーや思いやりの力がビジネスパーソンの間でも注目されています。
もちろん、エンパシーや謙虚さは、企業のリーダーだけに必要な「生き抜く力」ではありません。
アメリカの心理学者でノースカロライナ大学チャペルヒル校のミッチ・プリンスタイン教授の「人気者」の研究が示唆に富んでいます。
人気には2種類あります。
1つは、学校での成績やスポーツ、見た目などの社会的評価や名声に基づいた「ステータスの人気」。
もう1つは、性格など内面的な理由による「性格の人気」です。
プリンスタイン教授によると、どちらの種類の人気を求めるかが、我々の人生に大きな影響を及ぼすと言います。
「ステータスの人気」を追求しすぎると、アルコール依存や薬物中毒、うつ病、社会的孤立などの健康リスクが増大し、満足のいく恋愛や友人を得る確率も下がってしまうという研究結果が出ています。
一方、「性格の人気」は正反対です。
子どもの頃に「性格の人気」を得た人は、就職率や昇進が高いことがわかりました。
また、友人や恋人とも長期的な関係を築きやすいこともわかっています。
プリンスタイン教授によると、これまで科学的に根拠づけられてきた「性格の人気」の条件には、以下のようなものが挙げられます。
●うまくその場の状況に適応する
●適度に頭がいい
●いつも機嫌がいい
●自分のいいたいことを上手にいえて、他の人にも配慮できる
●アイデアが豊富で、交友関係の難しい状況を解決するのがうまい
●みんなの和を乱さない
人のいうことをよく聞き、相手の気持ちを汲み取り、柔軟に対応できる。
ここまで見てきたような「生き抜く力」の源泉が、このリストにも重なって見えてきます。
ちなみに、これは単なる人気だけではなく、恋愛感情についても当てはまるようです。
テキサス大学オースティン校のデヴィッド・バス教授は37か国、1万人以上の青年男女に「恋愛相手に求める条件は何か」という質問をしました。
すると、37か国すべての国で共通の条件が、「相手に対する思いやり」だったのです。
アメリカの大企業をリードするCEOが「モテる」理由は、お金だけではなく、彼らの「生き抜く力」にも秘密がありそうです。
『スタンフォード式 生き抜く力』ダイヤモンド社
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所長視点
相手に対する思いやりが人間関係には重要…というのはよく言われることです
その人間関係が「家族の関係」に特化すると難易度がグンと上がります。
いまの時代は、家族に対する思いやりが問われるようになり、それが「生き抜く力」につながる思いやりです。
家族には正論を叫んでも、社会での実績をアピールしても通用しません。本物の思いやりが問われます。
家庭での思いやりが、社会でも評価される時代です。
いい時代になりました
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